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沖田オフィスレポート <2019.08.29発行>

昨今、高齢化社会に伴い、財産管理の方法として家族信託が注目されています。

当事務所においてもコンサルの一つと考え、信託を活用しております。今回は信託財産に伴う税務処理より個人の確定申告等についてご紹介します。

収益不動産をお持ちの方は、将来万が一認知症が発生した際や高齢により、自分で不動産の管理や修繕、売却を行うことが出来なくなってしまうリスクがあります。

そこで民事信託(家族信託)を活用することで、これらのリスクを未然に防ぎ、対応策を検討することが可能になります。

 

《所得税申告義務の発生》

個人の有する信託受益権の目的となっている信託財産(以下「個人の信託財産」という。)の管理運用又は処分による所得が、当該個人の利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、譲渡所得、一時所得又は雑所得のいずれに該当するかについては、当該個人がその信託財産に帰属する財産債務を有し、その管理、運用又は処分を自ら行っているとした場合に該当することとなる所得として判定することから、委託者から信託された財産の所有権は受託者に移転し、その財産名義管理等は受託者となりますが、信託財産から生じる収益は受益者が受け取ることにより、実質的な所有者が受益者であることより、税務上は受益者に対して課税することとされています。=受益者課税の原則

 

《申告等についてのポイント》

① 信託財産から損失が発生した場合

信託財産から発生した損失は、受益者個人の信託外財産から生じる所得と相殺することはできません。

例:信託外財産→黒字500万 及び 信託財産→赤字400万の場合=所得は500万の黒字

信託外財産→赤字400万 及び 信託財産→黒字500万の場合=所得は100万の黒字

よって、信託された賃貸不動産から受益者に生じた損失は、他の所得と損益通算することができず、また、繰延も出来ないこととなっています。

*大規模修繕や設備投資などについては、工事を複数回にするなど信託財産での所得が赤字にならないようにする事、また同一の信託契約の信託財産から生じた所得とは相殺することができるので、通常黒字が見込まれる賃貸不動産を同一の信託契約による信託財産に組み入れる事、などに注意する必要があります。

例:信託外財産→黒字500万

信託財産→A物件赤字300万、B物件黒字400万=所得は100万

受益者個人全体の所得=信託外財産500万+信託財産100万=所得は600万

 

② 期中においての会計処理

信託財産から生じる損失の損益通算が不可であることから、決算書は信託外財産と信託財産に分け作成することとされています。

 

申告案件の内容

委託者=受益者 : A さん    受託者 : B さん             

埼玉県在住の不動産貸付業を営む地元のオーナー A さん (80歳女性)

① 信託前収益不動産の所得の状況

所有財産 : 貸店舗700万

賃貸住宅 : 2,300万

貸パーキング : 400万                   

*近年はB さんが管理をしている状況にあり、認知症対策により信託 

・他雑年金等あり

② 信託後収益不動産状況の所得の状況

*収益不動産のうち、一部の貸地(貸パーキング)以外すべて信託収益不動産

信託財産 : 貸店舗700万   信託外財産 : 貸パーキング200万

                賃貸住宅 : 2,300万

                貸パーキング : 200万

③ 信託財産会計期間 

H30年4月1日~H30年12月31日

<今回の案件の申告について>

〈申告等についてのポイント〉を考慮した上で、期中会計処理については、信託外財産と信託財産を分別した不動産所得の試算表を作成しました。会計期間については4/1より信託収益不動産へ帰属することなど、月割按分などに注意し会計処理をしました。今回の案件については信託財産から生じる所得について黒字となったことから、当事務所では信託外財産と信託財産からなる不動産所得については、合算により青色申告決算書(不動産所得用)を作成しました。また、確定申告に添付する書類の不動産に関する明細書については、受託者Bさんの税務署への報告義務である信託計算書(同合計表)で対応しました。

当事務所では、先生方の顧問先に対する家族信託のご提案及びサポート業務も行っております。お電話のほか、FAX、Eメールでのご相談も受け付けておりますので、お気軽にご連絡ください。

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